SaGaシリーズのPS第2弾作品。今までのSaGaシリーズとは大きく異なるシステムには賛否両論の嵐が吹き荒れ、途中でプレイ放棄しちゃった人も少なくないと聞く。「SaGaシリーズ」とは何ぞや? と改めて考えさせられる作品になっちゃった、とか何とか(結局その後、あの『Unlimited SaGa』が出ちゃったんだけどさ)。
このゲームのストーリーを一言で説明するのはちょっと難しい。頑張って言えば『同時代に存在した、一人の王の生涯と、とある一族の宿敵との闘争を描く物語』……とでも言おうか。とにかくシナリオ進行が特殊なのだ。
基本としては、歴史を追っていく形でシナリオが進んでいくのだが、そこには大きく二つの流れがある。
一つはギュスターヴ13世の生涯とその没後数年の世界の動き、そしてもう一つはナイツ家の三代に渡る宿敵『エッグ』との闘い。
この二つの流れは歴史的には同時代に起こっている事なのだが、基本的には殆ど接点は無い(たまにイベンド絡みである時もある)。但し、最終的なラストボスはナイツ編の流れで発生する事から、ギュスターヴ編は最終的にはナイツ編へと飲み込まれていく形になっている。
この辺りは本当に実際にプレイしてみなければ解り難いのだが、プレイヤーは歴史の傍観者というスタンスを保ちつつ、キャラを動かしダンジョンを攻略したりする。年表と照らし合わせながら、重要な出来事(=イベント)をピックアップして見ていく(=プレイする)、という感じ。
また、年代順では無くてもプレイしたい出来事から選択してプレイする事も可能なので、歴史を遡ってシナリオをこなしていく事も出来る。例えば、普通ならギュスターヴ13世が誕生するエピソードから始める所を、いきなり彼が七歳の頃のエピソードから、とか。だが、物語を解りやすくする為には年代順にプレイした方が断然楽ではあるのだが。
以上の様に、シナリオが特殊なのでストーリーというよりは歴史を把握していく感じになるのだが、『歴史』というだけあり登場人物が多いこと多いこと。ほんのチョイ役からゲームの中心人物まで非常に沢山出て来るので、攻略情報無しでは人間関係を把握するのがなかなか難しい。しかも、その人間関係を把握しないとストーリーの把握も困難なのだから余計に辛かったりする。「人間関係もストーリーの把握も別にどーでも良い」という方ならば何も困る事は無いのだが(笑)。
また、プレイしていて笑えたのは、時間の経過に伴うキャラCGの変化。
何しろ歴史を飛び飛びに辿っているので、さっき15歳で出ていたキャラが気がつけば35歳という現象が起こるのはいいのだが、主役級のキャラしかCGが変わらなかったりするので、姿形は10歳の時のままなのに実年齢は47歳という凄まじい事が平気で起こる。少年時代から50代になるまで半ズボン姿の者(当然、野郎)もいるのでさりげなく香ばしいのだ。
世界観としては、中世ヨーロッパっぽいがSFも少々、といった感じで個人的には好き。グラフィックも前作とは違い「CG!」というよりは柔らかい雰囲気なので、見た目では意外と取っつきやすいと思う。
一方、プレイヤーを……特にRPG初心者を突き飛ばす一因になっているだろう要素は、街の訪問やダンジョン攻略などの自由度が低いという事と、セーブするタイミングの難しさなのではなかろうか。
前者については、基本的にイベント絡みで行く以外、シナリオとシナリオの間で街に入れるのは一つの街につき一回だけ。しかもシナリオの進行具合では入れない時期も少なくない。更に一つの街に機能が全て集中している訳では無いので、上手くやらないとアイテムや装備品が無駄になる場合もある。
後者については、SaGaシリーズの伝統である「どこでもセーブが可能」というシステムが相変わらず危険。何しろダンジョンの中などでもセーブ可能なので、イベントクリアするまで脱出不可能な場所(結構あるんだこれが)でセーブしてしまい、敵に歯が立たず、でももう戻れない……という状況も十分有り得る。
これを回避する為に用心に用心を重ねた私は(小心者とも言う)、メモリーカードを一枚占領されちゃったよぅ。幸い、行き詰まる様な事にはならなかったから良かったけど。
こういった制約多めのゲームは、ある程度慣れてくれさえすればその制限が面白いのだが、逆に、失敗したら二度とプレイしたくなくなる衝動に襲われたりもするので、途中放棄される可能性を常に秘めている様に思える。
そういった点を考慮すると、正直、ゲームに慣れていない人にはあまりおススメは出来ない。
少なくとも、自由度の高いRPGが好きな方にはそれなりにシビアかと思われる。自由度にはこだわらない方でも、まどろっこしいのが嫌いな方には嫌われそうだ。
個人的にお気に入りキャラは、ギュスターヴ13世とリッチ・ナイツ。その人生の壮絶さもさる事ながら、二人共、オットコ前でやんの。また、違う意味で気になったのがグスタフ。あの奇怪な髪型は何なのだろう。あれさえ無ければ強いし二枚目だしクールだし(怪しいところだが)、使い易い良いキャラなのだが。
とにかく、種々多様なキャラがいるので好きなキャラが一人は見付けられるとは思うが、それがほんのチョイのキャラだったら泣けてくる事うけあい(涙)。更にはすぐに死なれたり、いつの間にか死んだ事になってたらハラホロヒレハレ。……それこそ、既に人生が解りきっている歴史上の人物にハマっちゃう感覚か(それはちょっと違うかもよ)?。
総括としては、システムのお陰でなかなか一筋縄ではいかない、何とも手強いRPGに仕上がってしまっているものの『無茶苦茶に難しい』という事は絶対に無い(私がクリア出来たもん)。
なので、色々なタイプのRPGに挑戦したい方は、評判だけで毛嫌いする前に一回プレイしてみるのはいかがだろう。幸い中古屋さんでお安く手に入(以下略)。
シナリオは厚みがあってとても良いと思うので、じっくり時代を追いながらイベントを進めるのが私的におススメでございます。
[ 04.11.10 ]