ウルティマ 聖者への道 [ ポニーキャニオン/'89 ]
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■第21回

今回向かってみるダンジョンは「ロング」。ブリテインの北東にあるダンジョンで、前回探索した3つとは違い、陸路で行く事が出来るのが利点。

ロング

ここ、ロングでは、祭壇と同じB8Fに「石」の部屋がある。B2FとB8Fの小部屋に隠し通路のスイッチがあり、B2Fの方は、3つあるバリアのうち左下のものがスイッチになっていた。HPを減らしたくないなら、魔法「ディスペル」でダメージゾーンを消去すればいいだろう。私は面倒だったのでそのまま突っ込んだが。

宝箱エリアはB4FとB5Fの二箇所だが、どちらも7個しかなく、他のダンジョンに比べたら見劣りする。わざわざ寄り道してまで収集する程でもないだろう。
B8Fの「石」の部屋にて「緑の石」を入手したら、もうこのダンジョンでやる事はない。「イクジット」を唱え、とっとと脱出するのであった。

さて、この時点で探索し終えたダンジョンは7つ。祭壇の部屋で繋がっているダンジョンは全て制覇した事になるのだが、これで終わりではない。存在は解っているものの姿を見た事がないダンジョンが、あと2つも残っているのだ。

その2つのダンジョンのうちの1つは、「アビイス」。
これは私が最終的に向かう事になるダンジョンなので、今は時期尚早だ。
ならば、今はもう1つのダンジョンに行くしかないのだが……面倒な事にこのダンジョン、極端に手掛かりが少ない。解っているのは、

「山の中の洞窟で、空を飛べないと行く事が出来ない」
「その洞窟に『白い石』がある」

……という2つの事実だけ。ヒスロスからも行く事が出来ないとは一体どういう位置付けなのかと悩みはしたものの、考えていても仕方ない。気球を操る魔法「ウインド」の触媒薬草を買い込んで、マップを虱潰しに探索するしか無いだろう。

気球に乗り込み、ブリテインを出発。山岳地帯という事で、先ずはブリテイン北部にあるだだっ広い山脈を調べつつ東に向かい、次はミノック辺りの山を……と計画していたのだが。
ブリテイン北部の山脈をウロウロ調べていたところ、それらしき洞窟入口をあっさりと発見してしまったのだった。

正直に言うと実に拍子抜けだったのだが、ここは早く発見出来た事を素直に喜ぶべきだろう。半泣きで空を彷徨うなんて御免被る。
自らの幸運に一応感謝しつつ気球を下ろした私は、意を決し、未知なる洞窟に飛び込んだのだ……が。

……はて。
ここは、ダンジョンでは、無かったのだろうか。

サーパンツスパイン

目の前に広がった光景を、我々はなかなか信じ切れなかった。
そこは確かに洞窟ではあるのだが、ダスタードやヒスロスのような「3Dダンジョン」では無い、ごくごく平和的な雰囲気の場所だったのだ。

「ここはサーパンツスパインの洞窟。みんなブリタニアの未来を語り合っています」

出迎えてくれた女性の言葉に、階段を下り奥へと入っていくと、洞窟内には沢山の人が。そのうちの一人がこの場所についての説明をしてくれたのだが、それによると……、

「その昔、巨大な蛇、エクソダスが目覚めようとした時、4人の勇敢なる者がこの地にエクソダスを封じたのです。その時の蛇の姿がこの山並みになったといいます」

……だ、そうです。

なるほどなるほど、確かエクソダスを倒したのは私と当時の仲間で、奴の正体は蛇でなくアレだった記憶があるのだが……ここは蛇という事にしてみよう。そっちのが浪漫がある。

更に人々から話を聞いていると、ある人物が、

「この先にあるものをミノックのジルコンに渡しなさい」

と、言ってきた。
ミノックのジルコン? どっかで聞いた事がある名前……って、そうだ! あの無愛想な鍛冶屋の事か!
あまりあの鍛冶屋には良い印象がないが、渡して欲しいのなら渡してあげようと奥の宝箱を開けると、そこに入っていたのは「蛇のウロコ」。
……こんなの、何に使うんだろう、あの鍛冶屋は。財布にでも入れるのだろうか……って、金運上昇するのは蛇の抜け殻だっけか。

さて、この洞窟の中では、人々はあれこれ思索しているようだ。モンデイン(1のボス)、ミナクス(2のボス)、エクソダス(3のボス)に脅かされていた時代は終わったというのに、未だ悪が滅びず争いが絶えない事が不可解らしい。
いやぁ、人間なんてそんなものだよ、と言ってやりたいところだが、世界の導き手たるアバタールがそれを言う訳にもいかない。この人達が考え過ぎてノイローゼになる前に、一刻も早く「教典」を手に入れなくてはいかんなぁ。

ところで、この洞窟に来た真の目的と言えば、「白い石」を回収する事だ。

アビイスでは8つの石が全て必要なんだ。白い石がこの洞窟のアンクの前にある。箱を開けて手に入れるんだ!」

と、力強く教えてくれた人の言う通り、洞窟内にはアンクの姿があった……って、何か変な表現だな。

「私は未来のアンク。教典を開くとき、お前は全てを知るだろう。この旅はお前の運命だったのだ。さぁ、行くがよい。究極の知識を紐解くのだ!」

これまたたいそう力強く言われてしまったが、実のところ、このアンクは全然情報を与えてくれていない。
この世界において有益な情報を出さないキャラはアンクといえども冷遇されるべきだと思っているのだが、口には決して出さないぞ。アバタールだしな。

宝箱の中から「白い石」を入手したら、サーパンツスパインの洞窟を後にする。これで石も8つ揃ったし、教典への道がまた少し開けたという訳だ。

【その他の収穫inサーパンツスパインの洞窟】
・「アビイスはベリティー島の南の島にある炎の海の真ん中がその入口だ。鐘、ローソク、本を正しい順番で使えば入れると聞いた。しかし、徳を究めた一人しか入ることは出来ないんだ」

■第22回

遂に、全ての石を揃えた我々。
次にすべき事はこれらをダンジョン内の祭壇に安置する事なのだが、その前に、前回サーパンツスパインの洞窟で入手した「蛇のウロコ」を、ミノックの無愛想鍛冶屋に持って行かなければならない。

こういう面倒な事は早く終わらせるに限る。早速奴の所に行き、「蛇のウロコ」を渡したところ……、

「おお、エクソダスのうろこだ! 腕が鳴るぜ。伝説の斧が出来るんだ!」

……な、何ィ!? エクソダスのうろこだぁ!? だ、だって奴の本体は! ……って、この話はもういい。

ジルコンにウロコを渡した直後に話し掛けてみると、「まだできてねぇんだ」との返事。
それもそうかと思い一泊してからまた訪ねてみると、それでも未だ出来ていない。
そうだよね、一泊じゃあ短すぎるよね、と一旦町を出てから再び入り直して訪ねてみても、「まだ」との事。

えらく時間がかかる様子だが、一体「伝説の斧」とは何なのだろう。ふと疑問に思い文献を紐解いてみたところ……戦士専用装備だとぉ?
……いらんわ、そんなの。うち戦士いないのに。

無駄足同然な事に時間を費やしてしまったが、気を取り直して祭壇巡り開始。先ずはブリ城経由でヒスロスB8Fに潜り、手近にあった「愛の祭壇」に石を置いてみる事にする。

各祭壇に置くべき石は、それぞれ4つ。その4つが何であるかは、祭壇の「原理」から判断しなければならない。
今回置くのは「愛の祭壇」なので、当然「原理」は「」。更に、その「」に連なる「徳」は何かと言えば、これまでの情報から推測するに、「優しさ」「献身さ」「公平さ」「清らかさ」の4つだろう。
そして、この4つの徳に対応している色は「黄」「オレンジ」「緑」「白」なので、これらの色の石を置けばいいのだ。

間違えたらどうなるのだろう、などと恐れを抱きつつも4つの石を置くと、アビイスで必要だと言われている「愛のカギ」を手に入れる事が出来た。と、いう事は石が正解だっという事だよな?

一回目がすんなり成功した事に気を良くした我々は、続いて「真実の祭壇」、「勇気の祭壇」と挑戦。前者には「白」「青」「緑」「紫」の石、そして後者には「赤」「オレンジ」「紫」「白」の石をそれぞれ置き、「真実のカギ」及び「勇気のカギ」をそれぞれ入手したのであった。

またまた教典へと一歩近付いた我々は、ひとまず魔法「イクジット」でヒスロスを脱出。その後、いつものようにトリンシック辺りにでも向かおうとしたところ、所謂「南の島」の西方にある小島に、今まで見た事もない神殿を発見してしまった。……何だここ。

中は一見普通の神殿なのだが、入口に兵士3人居るのがこれまでの神殿と異なる。また、先の方には下へ続く階段があるようだ。
ひとまず中に入れて貰おうと扉付近の兵士に話し掛けてみると、
「ここには入れません」
と、取り付く島も無い。ええい、それでは違う兵に聞くまでよ、と側に居た2人に声を掛けたところ、

アビイスに入ったら、天の剣と大地の鎧を装備するんだぞ!」
「アビイスは最後の試練。1人で行かねばなりません

と、まるで最終確認のような情報をもたらしてくれた。……結局、神殿内部には入れてくれない様だな。

入れてくれないのなら仕方ない。せめて、下に何があるのかを覗いて帰ろうとばかりに階段を下りて行くと、そこは何の変哲も無い小部屋。人も居なけりゃ物も無いのだが……かえって、それが凄まじく怪しい。そのうち、絶対この小部屋で何かあるぞ。賭けてもいい。

謎の神殿を出て手近な町に戻ったら、いよいよアビイスに向かう準備を開始。必要なアイテムを確認し、仲間達のステータスや装備を確認……していたところで、ふと思い出した。
サーパンツスパインの洞窟や、今しがた発見した謎の神殿でも言われていたが……アビイスには、私一人しか入れないらしいという事を。

これまで苦楽を共にしてきた仲間と別れるのは実に心苦しいが、教典を取るためならば仕方がない。ブリ城の仲間管理施設(酒場ともいう)に出向き、あっさりとイオロ、マリア、イアナの3人に別れを告げたのだった。
大丈夫、その気になったらまた直ぐにパーティを組めるのだから。

次回は遂に最終回。
私は果たして無事教典を持ち帰る事が出来るのだろうか?

■第23回

8つの徳を究め、8つの石を集めた。「勇気の鐘」「真実の本」「愛のろうそく」を入手し、「愛のカギ」「勇気のカギ」「真実のカギ」もある。「天の剣」と「大地の剣」も装備したし、「まほうのたま」や「ろうそく」も過剰なまでに買い込んだ。勿論、薬草だって各種大量に用意している。
最後の仕上げにブリ城の酒場にて仲間達と別れを告げ……この身一つで旅立つ時が来た。
目指すは「アビイス」。最奥に教典が眠るという、地獄の名だ。

アビイスへの入口がある島は、ムーングロウやライキューム城が存在するベリティー島の南に位置している。「ヒスロス」や「謙虚さの神殿」もある、険しい山脈と荒れ果てた大地が印象的な島だ。
以前下見に行った際、どうも気球では行けなさそう(着陸可能地点を見付られなかった)だったので、先ずはムーングロウの町に向かい、そこから船で南の島へ向かう事にした。

島の西部にある入り江から上陸し、南に向かうよう心掛けつつ進んで行くと、あっさり火山地帯を発見。真ん中の火山にアビイスの入口があるという話だったので、その上に乗り(笑)聞いた話通りに「勇気の鐘」を鳴らしてみた。
その瞬間、鐘の音色が周囲に響き渡り始めた……のは良いのだが、「愛のろうそく」と「真実の本」、次はどっちを使えばいいのか解らない。間違えた挙げ句、ペナルティで死んだりしたら目も当てられない。……そんなものがあるかは解らんが。
だが、早くしないと鐘の音が消えてしまう。意を決した私は、取り敢えず「真実の本」を開いてみる事にした。
理由なんてない、勘だ、勘。

一か八かで本を開くと、本に言葉が浮かび上がった。その言葉は響いていた鐘の音に共鳴し、ここで「愛のろうそく」に火を灯すと…………アビイスの入口が浮かび上がったぞ! ……って、うわ! 何故かいきなり「がいこつ」が砕けたッ。

モンデインの遺骨である「がいこつ」が壊れた意味はさっぱり解らないが、アビイスの入口が出たのだからそれで良し。
いざ、最終ダンジョンへ突撃なのである。

アビイス

実に不吉な感じのBGMの中、足を踏み入れたアビイス。ここでもやはり「まほうのたま」のマップ表示が有効だったので、いつも通りにマップを書き写しつつ進んで行く事にする。地獄というくらいなのだから余程厄介なダンジョン……かと思いきや、何事もなく平然と続いていく通路といつも通りの敵の顔触れに、少々拍子抜け。

とは言え、まだB1Fだから油断は禁物。気を引き締めて下階に続くハシゴを目指していると、通路の突き当たりにて大きな杯のようなものを発見してしまった。何だこれ。

真実、それはどの徳から作られるか?

有無を言わさず投付けられた問いに、驚いている暇すらない。頭の片隅には、既に8つの徳が選択肢として羅列されている。
……むむむ、「真実」を作り出す徳は「誠実さ」「公平さ」「清らかさ」「名誉」だから、先ずは「誠実さ」を選んで……って、おわっ!? もう次の質問なのか!? 他の3つは聞かなくても!?

その徳を示す石をここに置くのだ!

はいはい。ええと、「誠実さ」を示す石は「青い石」だからそれをここに……って、あれ? 杯が消えたぞ?

石を置いた瞬間目の前の景色が一変し、目を見開くと、そこには小部屋の入口が。周囲を見回してみたところ、どうやらここはB2Fらしい。……と、いう事は、先刻の問答はあれで正解だったという事なのか?

狐に抓まれた感がどうにも拭えないが、躊躇している暇は無い。先に進むしか術は無いので、目の前に現れた小部屋に突入。その後も連続している小部屋を抜け、最後の小部屋にあった隠し通路も無事発見し、先に進む。
そして、通路の果てにはまたあの杯があった。

愛、それはどの徳から作られるか?

今度の問いは「愛」らしい。この原理に連なっているのは「優しさ」「清らかさ」「献身」「公平さ」だから、この中のうちどれか1つを選べば……と思ったところで、ふと考えた。
B1Fの時は4つの徳の中から「誠実さ」しか要求されなかったのだが、これは何故なのかと。まさか、4つの内の一つなら何でも良かった、という訳でもあるまい。

そこで、私は以前まとめていた原理と徳の関係を小一時間眺めてあれこれ考えてみたのだが……その最中、ある話を思い出した。徳の中には、二つ以上の原理に被っているものが多いのだが、逆に、一つの原理にしか連なっていないものがあるという事を。

「真実」の原理を例に挙げてみると、「誠実さ」の徳がそれに当たる。「真実」に連なる4つの徳の中で、「誠実さ」だけが他の原理には連なっていない。一方、他の3つの徳は「愛」や「勇気」の要素にもなっている。
この事を考えると、B1Fの杯が本当に問うていたのは『真実のみを作る徳とは何か』という事だったのではないだろうか。
……いつになく真面目に考察してしまったが、間違えてたら凄まじく恥ずかしいぞ。これ。

ここは己の説を信じる事にした私は、その説を踏まえて目の前の杯の問いを考察。
「愛」のみに連なっている徳は……「優しさ」だ!

結果は、大正解。「優しさ」を示す石を要求されたので「黄色い石」を選んだところ、何事も無かったかのようにB3Fへと向かう事が出来たのだった。

一旦要領が解ってしまえば、問答に恐れるに足りず。地獄内をサクサクと進み、順調にB6Fまで到達した。
ちなみに、各階の特徴を大まかにまとめると、以下。

B3F:徳は「勇敢さ」、石は「赤い石」。隠し通路(仕掛けは下壁)のある小部屋有り。
B4F:徳は「公平さ」、石は「緑の石」。
B5F:徳は「献身」、石は「オレンジの石」。隠し通路のスイッチはバリアの奥の壁。

予想以上に早いペースで降りて来たB6Fだったが、この階は底意地の悪い構成になっていた。
連続している小部屋は一見ありがちなものだったのだが、入ってみると、とんでもない。
小部屋内部は分断され行き止まりになっているものもあり、そう易々と通り抜ける事が出来なくなっていたのだ。しかも殆どの部屋に敵が出現するため、道を間違えたらその分無駄な戦闘を繰り返すハメになってしまう。

図.1 アビイスB6F
この構成にすっかり神経を逆撫でされた私は、勢いで、正しい進行ルートを書き記してしまった(左図)。もし、貴君がうっかりこのダンジョンに迷い込んでしまった時は、よければ参考にして欲しい。うっかり入る方が難しいが。

簡単に説明しておくと、黒い線で書かれた四角が小部屋を、黄土色の部分が壁を表している。また、左上の色の薄い黄土は擦り抜けられる壁だ。正解となるルートは緑の線で、行き止まりになるルートは先に×が付いた赤い線で示している。
杯の方に向かう場合は、左上の擦り抜けられる壁の西側から入り、線の通りに進んでいく。また、逆戻りした時は右下からルートを辿る事になる……のだが、実のところは確か、そのまま左に抜けられる一方通行のルートがあったと記憶している。はっきりとは覚えていないので、描くのは止めておいたが。
その他も不備があるかもしれないが、その時は笑って許してやって欲しい。ホントに。
……まぁ、素直に擦り抜け壁に入っておけばそう難しい箇所でもない、という事だけは言っておこうか(涙)。

さて、最奥の杯の問いに「名誉」と「紫の石」と答え、B7Fへ。ここにもB6Fほどではないが小部屋を使った障害が待っている。ここは小部屋が斜めに連なっているのだが、B7Fスタート地点側から数えて3つ目の小部屋に仕掛けがあり、左側の隠し通路を出さなければ杯の元へは辿り着けない。部屋左側の「コ」の字の部分が仕掛けになっている。
ちなみに、ここで必要なのは「清らかさ」と「白い石」。

さて、いよいよ最奥のB8Fへと到着。ここも、のっけから小部屋のマジック(笑)が待っている。
スタート地点から少し進むと南と東に小部屋があるが、正しいルートは東側。東の小部屋に入ったら、次は南の小部屋に向かう。その小部屋は西側にしか行けない様になっているが、仕掛けを解けば右側への隠し通路が現れるので、それを通って東へ。あとは道なりに進めば迷う事は無い。

※ 以下ネタバレにつき一部反転

小部屋地帯を出て少し進むと、また小部屋が。まったく、また面倒な仕掛けがあるんではあるまいな、とボヤきつつ中に足を踏み入れた私は……言葉を失ってしまった。
部屋の中には、私がかつて共に旅をした仲間、そして、仲間候補だった皆が待っていたのだ。

なんだ、皆。私に黙ってこんな所に集まって。
……ま、まさか……私にナイショで、アバタールになった祝賀パーティを催してくれるのか? よりによって、こんな地獄の底
で?

衝撃のあまり妄想が暴走してしまったが、ここは所詮地獄。パーティもへったくれもない。仲間の姿を模したその存在達は、一斉に私へと襲い掛かって来たのだ。

全員仲間の姿をしてはいるが、奴等は所詮まがいもの。先ずは魔法「スリープ」をかまし数人眠らせた後、起きている奴から優先して倒して行く。中でも魔法使い系はヤバい気がするので、マリアのそっくりさんを先ず最初に倒した。ごめんな、マリア
その後数回ダメージを受けはしたものの、幸い致命的なダメージではなく、どうにか全員撃破。嫌な連中を用意するものだなぁと憤慨しつつ、次の小部屋へと進んだのだった。

正直、先ほどの戦闘がラストバトルだと思っていたが、どうやらそうでは無かったらしい。次の小部屋でも敵が出現した。
……ただし、今まで普通に出て来ていた最強クラスの雑魚敵共ではあるあのだが。

最後とばかりにドカドカ遠距離攻撃を仕掛けてくる連中を退け、いざ先へ……と思いきや、通路が開かない。
仕掛けを探してウロウロしまくっても全く開かず、最後の最後で「神様の悪戯(バグ)」が起こってしまったのかと落胆し、壁に手を付いたら……あっさり開いた。
………………なんだ。普通に真ん中触れば開いたのか。

小部屋を出た先には、真っ直ぐな通路が続く。それをほんの数歩進むと、最後の杯が私を待っていた。
最後の答……それは、「謙虚さ」と「黒い石」だ!

※ 以下ネタバレにつき一部反転

「黒い石」を杯に置いた直後、私の周囲は静寂に包まれた。
そこは最早、暗い地獄の底では無かった。足下には魔法陣が描かれ、少し先にはアンクがある。
私が恐る恐るアンクの前まで前進すると、アンクが語り掛けてきた。

3つのカギを持つ者よ。私は遙か昔よりお前を待っていた。さあ、カギを取り出すがよい。教典の部屋に導こう

この言葉に従い3つのカギを取り出すと、何と、カギが融合し1つになった。そしてそれが目映い光を放った次の瞬間、魔法陣の中央に階段が現れたのだ!

階段の先で私を待っていたのは、一冊の本だった。
勿論ただの本じゃあない、「教典」だ。

この世界とは何か? 命とは何か? 我々の未来は? 遂に全ての謎が解き明かされる時が来たのだ!

……と、誰かが頭の隅で力強く叫んでいる事だし、いざ教典を開いてみようと思う……っと、その前にズボンで手を拭こう。あ、ズボンの方が汚いんだった。

教典には色々書いてあった。今まで不思議に思っていた事が大体解決した。ふーん、結構面白いなぁコレ、と床に座り込んでスナックを囓りつつ読み填っていると、あっという間に最後のページになってしまった。……案外薄いな。

最後のページには、最終的な答が書いてあった。

アバタールとして必要な8つの徳。それらを造り出す3つの原理。そして、これら全てを含み、それよりも大きなもの……。全ての答えは終わり無きもの……。永遠の時の流れ……と。それが答えだったのだ!

…………………………えッ?

君は遂にこの世界の全ての謎を解き明か()たのだ!

…………………………えええッ!?

頭の中に自信満々な声が響き渡る一方、私は言葉を失っていた。
私の理解力が足らないのか、それとも教典が言葉足らずなのか……よく、意味が、わからなかった、のだ。
……しかも、肝心なクライマックスの部分で脱字かましてるし(強調部分)。

取り敢えず、「全ては永遠なる時の流れに支配されている」とか、そういう解釈で良いのだろうか……。

謎を解き明かしに来た筈が、微妙な謎を抱えるハメになった私だったが、ひとまずこの空間から脱出する事に決定。長い長い階段を昇り行き着いた先は、何処かの神殿のようだった…………って、アビイスに来る前に発見した謎の神殿じゃあないか? ここは。
何やら見覚えのある眺めに周囲を見回せば、確かにここは以前入室拒否された謎の神殿だ(前回参照)。更に自分が上ってきた階段は、あの、地下の小部屋に続いてた階段ではないか。こういう事だったのか。

だが、こんな所に出されても、正直困る。当然気球はないのだから、外で海賊船が近付くのを待たねばならないなぁ……と出入り口に向かいかけて、気付いた。
以前は通してくれる気配が無かった扉が、なんと全開になっていたのだ。

扉の向こう、神殿の祭壇の間で待っていたのは、私の仲間(候補含む)達、そして、ロードブリティッシュ王だった。
…………おのれ! またしても私を試そうというのか……って、え? 本物

危うく抜刀しそうになったのを寸前で堪え、ブリ王の御前へ。すると、王は誇らしげな笑みを湛えてこう言った。

おお!(主人公名)よ。遂に写本の知識を身に付けたか! やはりそなたこそ我々が待ち望んだ人だったのだ! これから、人々の輝ける手本となり、我々を光の時代へと導いて欲しい。この世界の平和は永遠に続くであろう!

何だ、結局これからも他力本願全開なのか……と少々げんなりしたものの、仲間(候補含む)達一人一人から祝辞を貰い、そんな気分も吹っ飛んだ。そして、最後にブリ王へと向き直ると。

(主人公名)よ、徳とは失われ易いものだ。その事を忘れずにな!

その声を号令に、私の長かった冒険は遂に終わりを告げた。
「ブリタニアは新しい時代迎え云々」との謎の声が頭に響いて来たものの……今は、そんな事はどうでもいい。風呂に入って爆睡したい気分だ。
……そうそう、私の家の本棚って、教典が入るサイズだっただろうか……?

□ ■ □

さて、勢いで「なりきり」で続けてしまったプレイ日記も、今回で終了。
終盤やや投げやりに冒険していた主人公ともここでお別れし、総括に入りたいと思います。

とにかく、「最初から最終目的が明確」という点が斬新なゲームだというのが率直な感想。
大抵のRPG等はゲームを進める内に目的が二転三転する場合が多々あるのですが、この作品に関しては「アバタールとなり、アビイスの奥底で教典を手に入れる、と、終始一貫しています。しかも、主人公を苦しめる悪の親玉というものが存在しないし。

発売された'89年は既にDQ3が発売されていたようですが、FCのRPG=ドラゴンクエストという風潮の中で、こういった異色のゲームを移植したのは正直凄い。当時の評価はともかくとして。

さて、オリジナルであるPC版はプレイした事がないのでそれとの比較は残念ながら出来ないのですが、前作である「ウルティマ 恐怖のエクソダス」(FC)と比べると、殆どの面で格段に進歩していると言えます。
グラフィックも他のFCタイトルと比べても格段に美しいし、戦闘などのシステムも随分と洗練された感。特に、戦闘から逃亡出来るようになったのは地味に大きいです(徳下がるけど)。

音楽に関しては前作もかなり良かったですが、今回も不満は感じられませんでした。ダンジョンのはちと賑やか過ぎた気もするが(笑)。

ゲーム進行に関しては、情報をしっかり収集しさえすれば、大概の謎を解く事が出来るのがいいです。ノーヒントだったり解き方が理不尽だったりして泣かされるケースが多いので、地味にポイント高し。
また、徳や原理に関しても、それぞれの関係を正しく理解していないと適当にやっただけでは先へ進み難い局面もあったりして、練り込んであるなぁと素で感心しました。

ゲームの好みというものは実に十人十色であり、求めるものも微妙に違っていたりする。なので、この作品も万人におススメ!……とは言えません。特に「己を強くして強敵を倒していくゲームが好き!」という方は止めておいた方が無難でしょう。
だが逆に、「ボス敵を倒す事を繰り返すゲームは飽きた」という方には、選択肢の一つとして考えてみてもいいのではないかと思います。
発売当時の事を考えると実にとっつき難い内容だったのではないかと思われますが(特に子供)、今改めて遊んでみると、再評価されるに十分値しているゲームです。
Wiiのバーチャルコンソール辺りで出ないかなぁ。前作はアレですが、こっちは大丈夫だと思うのだけれども。

それでは、「Utima 聖者への道」のプレイ日記はひとまずここで終了。
また、次のプレイ日記でお会いしましょう〜。

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